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2012-02-15 (水) | Edit |

 次はアンダース。DA:OriginsのAwakeningで登場した猫好き女好きのはぐれメイジですが、DA2では随分様子が変わりました。シナリオライターはジェニファー・ヘルパーさん。

アンダース

 この光は何かおかしい。黄色すぎる。強すぎる。それに上からしか光が来ない。しばらくの間、僕は何故おかしく思えるのか判らなかった。太陽は……いつもあそこにあっただろうか?僕はそんなことも忘れてしまったのだろうか?

 単語が思い浮かんだ。フェイド。僕はメイジだ。あそこで過ごした時のことを僕は覚えている。霧の場所、夢の場所。そうだ、思い出した。ここと違って、光は地面や、壁から、あらゆる所から湧き出していて、こんな風に一箇所からの光ではなかった。だが僕はあそこに訪れた事があるだけだ。なのにどうして、突然あの場所が故郷のように感じられるのだろう?

 他に何か忘れていることはないか?

 座り直すと、その光は明るくなり、暗くなり、安定した。頭の脈動が再び感じられたが、考えることもなく僕はマナを一息引き出して頭痛を追い払った。魔法が効果を発揮するに従って、痛みは去り、穏やかな心地よい状態が戻ってきた。僕は頭を整理しようとした。何か簡単な事から始めようじゃないか。僕の名前。僕の名前は何だ?

 僕はアンダース。
 僕はジャスティス。
 こんなに難しい事では無かったはずだ。

 それは突然戻ってきた。ジャスティスの声、僕の声、かつて彼が支配していた、朽ち果てようとする身体の顔を通じて発せられる声。「時は来た。お前が我に知らしめた物は、これまで対面した如何なる不正義よりも重い。我の助けを受け入れる覚悟はあるか?」

 彼の助けとはどういう事かは知っていた。

 生者の領域に留まるために、彼は生きた宿主、その皮の下から腐り落ちようとする死体ではなく、命ある限り住まうことの出来る肉体を必要とした。もし僕がそれを彼に与えるならば、彼は自らの持つ全て、彼自身を僕に授けようとしていた。共に闘うなら、僕たちはテダスを恐怖ではなく正義が支配する世界へと造り替える事が出来るだろう。

 サークルも、テンプラーも無い世界。全てのメイジが与えられた才能の使い方を学び、しかも夜には家族の待つ家に戻る事が出来る世界。母親が、子供を隠す必要がない…あるいは周囲の目を恐れるあまり、子供を手放す必要のない世界。魔法がメイカーの恩寵であると認められ、今そうであるように忌まわしい災いとしては考えられない世界。

 想像することさえ難しかった。サークル、テンプラー、彼らが僕の人生を形作ってきた。連中が僕の所に来た時、僕はまだ12歳にもなっていなかった。連中が僕の手首に繋いだ鎖を見て母は泣いたが、父は僕が連れて行かれるのを見てむしろ喜んでいた。納屋の火事のあと、彼はずっと恐れていた。僕の力を恐れていただけではなく、僕は、僕の魔法は、彼が想像する何かしらちっぽけな罪に対して、メイカーが下した罰であると思い恐れていた。

 僕は決して服従したりしないと判っていた。連中が望むような姿 ‐従順、服従、罪の意識‐ そのような者には決してならないと。だがジャスティスと出会うまでは、僕は一人だった。僕自身が逃げだす以上の事を考えたことはなかった。どこに隠れようか?連中に見つかるまで、どの位時間を稼げるか?

 今では、その考えにさえ憎悪の念を抱く。他の大勢の人々が生きているように僕が生きて何が悪い?何故サークル・オブ・メイジャイは存続しなければならない?既にそこに在るから?アンドラステの言葉を解釈した連中が、メイジは囚人で有らねばならないとその意味をねじ曲げたから?何故今まで革命は起きなかったのか?

「正気を取り戻したようだ」声が近づいてきた。聞いたことのある声だ。グレイ・ウォーデンの誰か。

「メイカーの名にかけて、一体やつに何が起こったんだ?」二人いるようだ。この一人は知らない声だ。

「単におかしくなっちまったんだろう。やつの目が光って‐皮一枚の下に火が燃えているように皮膚がぱっくり割れて、裂け目から光が見えた。それからずっとぶつくさ言い続けてる‐不正義がどうとか、革命がどうとか。狂犬のようにやつを殴り倒さなきゃいかんと思っていたら、突然崩れ落ちてこの有様だ。」

「くそったれのメイジどもめ」

 僕はよろめいて立ち上がり、今感じているようなヒューロックの囓り欠けの残骸のようにでは無く、ちゃんとした人間として目を開いて連中を見ようとした。ローランだ。もちろんそうに決まっていた。グレイ・ウォーデンが、親切にもテンプラーの鼻先から僕を掻っ攫って入団させてくれた時に、僕が支払わなければならなかった代償。
 彼は元々テンプラーで、彼のチャントリーがダークスポーンによって破壊された後、召命を感じてウォーデンに入団したという。誰も取引があったとは言わなかったが、テンプラーが抗議を止めるや否やローランがウォーデンの一人として現れ、それからというもの、僕と彼はいつも同じ任務に就いた。テンプラーが監視のために彼を送り込んだのは間違いようがなかった。

 それで、僕にとりついてジャスティスの助けを受け入れさせたのが何者であれ、どこかでこの事を見ているのだろうか?

 ローランが近寄ってくるのを見て、僕はその言葉の選択を後悔した、何故なら僕の中で何かが揺れ動いており、ひょっとしてジャスティスにとって、未だ生きて意識を持つ身体に住まう方が難しいのではないかと思ったからだった。しかしそれは無意味な質問だった、今や彼の考えは僕の考えであり、彼は僕で、もはや誰が問いを発しているのかさえ定かでは無かったからだ。

 ローランは僕の目の前に居た。彼の胴鎧に光る白いグリフォンの紋章と、彼の仲間の鎧にある鈍い灰色の、炎と剣の紋章が僕の目に映った。ローランが裏切ったのは火を見るよりも明らかだった。

「ウォーデンも、アボミネーションを匿うことは出来ないと認めた。」気障な鼻に掛かった声でやつは言ったが、それ以上聞く必要は無かった。やつはテンプラーを僕の、僕達のところに連れてきた、そしてそれこそが、僕達が待ち受けていた事だった。

 自分がいつ変化したのか僕自身には判らず、ただやつらの目に反映した光を見て、悲鳴を聞いた。僕の腕が襲いかかると、シルヴァーライトの鎧は割れる前に熔けた金属のシャワーとして弾け飛んだ。剣は溶けてテンプラーの胸を流れ落ちたが、僕は更に炎の波を送り込み、やつの顔から肉を焼き払い、高熱のあまりくすぶる骨だけを残した。木々も燃えていた…テントも、我々の周囲の物全てが燃えていた。

 ローランはまだ立っていて、やつが飲んだリリウムの匂いを感じる事が出来た、それが彼を爆発から守ったのだ。だがやつは恐れていた。盾が小刻みに震え、どうにか逃げるのを踏みとどまっている様子を見て、突然僕は思った、「僕に何が起きたんだ?」
 やつは少なくとも、ブルードマザーやアボミネーションにさえ恐れず立ち向かう男だったはずだ。

 それからやつの剣が僕の胴を薙ぎ払ったが、僕は何もしなかった、何故ならそれは単なる鋼鉄で、もはや定命の者では無くなった僕を傷つける事は出来なかったから。剣が僕の肉体に何の手応えも無いまま柄まで突き刺さるのを見た時、やつは諦めた。やつが背を向けて逃げ出したその背後から、魔法では無く、それが今何であるにせよ僕自身が、やつの頭を首からもぎ取った。やつの血は僕の開いた口に降り注ぎ、まるで蜂蜜入りのワインの様な味がして、その温かみが全身に広がった。

 やつは僕を憎んでいた、そして死んだ。僕を恐れ、狩り立てていたやつは死んだ。

 やつらは全て死ぬ。全てのテンプラー、全ての聖なるシスター、我らの自由の前に立ちふさがる者全て悶え苦しみながら死ぬ。そして彼らの死こそが、我らを更に奮い立たせる。我らは正義を得る。我らは復讐を果たす。

 突然、僕は一人で、燃えさかる森の中、足下のテンプラーとウォーデンの死体に取り囲まれて立っていた。あまりに数多くの、彼らがそこに居たことさえ気が付かなかった者達。彼らを殺した事すら知らなかったが、しかしその証拠は僕の周りの至る所にあった。ここは僕が今まで今まで経験したような戦場の跡ではなく、引き千切られた手足と、引き裂かれ喰われた肉が散らばる、血まみれの屠殺場だった。

 これは正義では無かった。これは僕自身の、僕の友人だった精霊のやることでは無かった。彼はどうなってしまったのだ?僕は、どうなってしまったのだ?僕達はここから逃げなければならなかった。もはやグレイ・ウォーデンの中に僕の居場所は無かった。

 何処かに僕の居場所はあるのか?


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テーマ:ゲームプレイ日記
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