
ええっと、どちら様で。
「大魔道士フィオナ?」
あ、やっぱり知ってた。
「反乱魔道士のリーダー。ここにいて危険では無いのか?」
「この集まりのことを耳にして、かの有名なアンドラステの使徒を、この目で見たいと思いましたの。亀裂を封じるために手助けが必要でしたら、私の配下の方がお役に立てるとは思いませんか?」
「魔道士のリーダーが和平会議に出ていなかったというのは、驚きだな」
「まったく。あそこに居るべき者が、どうやってか死を免れていた」
「ロード・シーカーもそうですわね、お気づきと思いますが。私達双方が代理人を送りましたの、罠だった場合に備えて。生きていて嬉しいなどと言うつもりはありません。本当に多くの友人を、あの日に失いましたから」
「あの事件の後も、騎士団が大手を振って歩いていると思うだけで吐き気がしますわ。あなた方はそんなことを、許しはしないと思いますけれど」
「するとあなたは、騎士団があの事件を起こしたと思ってらっしゃる」
「彼女なら当然だろう」
「ルシアスはおよそ参っているようには見えませんわね、あの日に失われた人々のことを、少しも気に掛けていないよう。彼の言いぐさをお聞きになりましたね。私達に反感を抱かせるためなら、彼は喜んで教皇を殺すだろうとは、お考えになりませんか?」
「ええ、彼がやったに違いありません。ともかく、あなたの行いと考えるよりは筋が通ります」
「だけど俺達の外交官が尋ねた時には、話を聞こうとさえしなかったそうじゃないか。何故今になって?」
「あなた方の審問会がどんなものか判ったからですわ。レッドクリフへのご招待と受け取って頂いて結構です。魔道士達と会ってください。協力すれば、双方に利益があることですもの」
そう言って立ち去るフィオナちゃん。いや御年50?前後の方のはずですが……。

ただいまー。ちなみに主人公の家は最初に眼が覚めたところで、審問会の旗が掛けてある。カレンは訓練しているところのテントかも(旗がかかっている)。女性陣は教会の中に、それらしいベッドがある。
「ああ、お帰りになりましたね。何があったか伺いました」
「もう?」
「街に居る私の部下が知らせてきたのよ、もちろん」
「テンプル騎士が分別を失い首都の護りを捨てるとは、全く嘆かわしい」
「まあ少なくとも、魔道士も騎士団も誰に交渉すれば良いかは判った」
「そうか?ロード・シーカー・ルシアスは、私の覚えている男とは様変わりしている」
「その通りよ。彼は騎士団を引き連れてどこかに立ち去ったけど、何のために?部下達からの報告は……随分変な話ばかり」
「確かめてみなくては。騎士団の全員がロード・シーカーのやり方に賛成している訳では無いはずだ」
「あるいは、代わりにレッドクリフの魔道士達に会いに行って頂く方がよろしいかも」
「反乱魔道士の方が団結しているとでも思うか?遙かに酷いことになっていても不思議は無い!」
「少なくとも、魔道士達の望みが何か、聞いてみることは出来るだろうな」
「彼らが何を望んでいるかはいつも明白だ。彼らの反乱への援助」
「レッドクリフの件を無視するべきではありません。魔道士の援助を得るために、調査する価値が有ります」
「確かに彼らは強力だ、だがあなたが思う以上に、彼らは必死になっている」
「すると危険かも知れないな。もっとも俺がフェイドから転がり出てきてこっち、危険で無かったことなんて無いが」
「もし反乱魔道士の中に、和平会議で起きたことの責任を取るべきものが居るなら……」
「テンプル騎士にも全く同じことが言えます」
「残念ながらその通りだ。いずれにせよ、現時点で騎士団に対して安全を確保できるほど、我々の勢力は強くは無い」
「ならさらに多くの代理人を確保し、勢力を伸ばさなくては。君にも大いに手伝って貰う」
「その間に私達も、他の手を考えておきましょう」
一応レッドクリフには行っておきます。諸般の事情。